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さぶ
さぶ
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《さぶ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 頁
と云い、栄二に眼まぜをしながらそっちへいった。
「怒ったようだな」と栄二は手酌で一つ飲みながら独りごとを云った、「――男が働いて女を養うってかい、そんな話じゃあねえのを知ってるくせに」
だが、思いあがりっていうのは当ってるかもしれない。おすえやさぶが稼いでいるのは、おれたち三人の急場を凌ぐためだろう。それを女房に稼がせている、などと考えるのは思いあがりかもしれない、と彼は思った。
「そこんところがおかしい」栄二は酔ってはっきりしなくなった頭を、呼びさまそうとするように強く振った、「おれはちっとも思いあがった気持なんぞありゃあしねえ、とんでもねえ、おれはさぶにもおすえにも済まねえと思ってるんだ」
ごめんなさい、と云われて顔をあげると、おのぶがさっきの客とそこへ来ていた。客は五十五、六だろう、結城紬の袷に羽折、紺献上の博多の帯をしめて、白鞣しの革の緒をすげた麻裏をはいていた。
「うちのお客さまのさぬき屋さん」とおのぶがひきあわせた、「こちらへいっしょになりたいって仰しゃるんですけれど、それに、ちょっとお話もあるんですって」
否応を云わせない口ぶりである。栄二はそれにつり込まれたように手を振り、どうぞと答えた。