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さぶ

さぶ

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《さぶ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 頁

青空文庫

さらにまた、それらの注文のしかたと、会ってみた栄二の人柄とが気にいったのかもしれない。とにかく主人の三郎兵衛はあいそよく、勘定のことは心配なく、今後も注文を呉れるようにと云った。

「おや」と三郎兵衛は、栄二が立ちあがるのを見てきいた、「足をどうかなすったのか」

「ええ、去年の夏の大しけでね」と栄二は足のそこを撫でながら答えた、「へまなことをして挫いたんですが、もうなにも故障はありません、お眼ざわりですか」

三郎兵衛は頭を振った、「うちの二男坊がね、やっぱり足が不自由なもんだから、――まあ、大事にして下さいよ」

栄二は黙って頭をさげた。

その店を出ると、強い風のため埃立つ道に立って、栄二は急に、石川島へ寄っていこうと思いついた。足のことをきかれたためかもしれないが、こんどの仕事にとりついた幸運を、岡安喜兵衛や与平に話したかった。大和屋の主人にめぐり会ったことは、その幸運に裏書をされたような気持さえする。寄場へ送られてから、悪いことが続けさまに起こった。不幸はおよそ単独ではこない、しばしばそれは重複しておそいかかる、ということを現実に経験したが、幸運もまた同じかもしれない。