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ゆうれいかしや

ゆうれい貸屋

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《ゆうれい貸屋(ゆうれいかしや)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,320 字 · 42 頁

青空文庫

ところが弥六はふまじめな恰好で、寝そべったままで、それで達観したようなことを云った。

「そう仕事仕事ったってしようがねえ、おれの親父なんぞは寝るまを惜しんで仕事をした、大家さんなんぞも褒めていたから知ってるだろうが、まるで仕事の亡者みてえに稼いだもんだ、それでどうしたかってえば、やっぱり年中ぴいぴいだったからね、酒も煙草ものまねえ、これが楽しみってえことをなんにも知らず、くそ働きに働きどおしで、それでも貧乏からぬけることができねえで、そうして四十六なんて年で死んじまったからね、……おんなじこったよ大家さん、せいぜい稼いだところで、また稼がねえでいたところでよ、どうせぬけられねえ貧乏なら、あくせくするだけ損てえ勘定さ」

それからだるそうに、大きな欠伸をした。

「おらあこれでいいのさ、これが極楽さね、うっちゃっといてくんねえ」

結果は、判然たるものであった。女房のお兼は実家へ帰り、彼はおいてきぼりをくった。出てゆくときはお兼は泣いて、

「あんたが人並な気持になる日を、あたしゃ実家で待ってるよ、憎くって別れるんじゃないからね、あたしゃ待ってるからね、どうか早く帰れるようにしておくれよ」