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ジストマたいじのはなし
ジストマ退治の話
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《ジストマ退治の話(ジストマたいじのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,042 字 · 23 頁
人間が死ななくて、虫が死ぬリミットというものは、あまり気持のよいものではない。
それから二、三日して、便を検査してもらうために、例の懇意のお医者さんのところへとどけた。そしたらしばらくして、そのお医者さんが、えらい勢いで家へかけ込んで来て、「先生、お芽出度うございます。卵は一つも見付かりません。不思議ですなあ」という騒ぎになった。本当に芽出度く「科学で病気が治った話」が出来上がったわけである。その後二、三カ月して札幌へ帰って、遠心分離器で便の集卵をやってもらったが、やはり完全に卵は見えなくなっていた。これくらいで、私も自分の病気を放免してしまった。
その放免が間ちがいでなかった証拠には、その後健康には全く気をつかう必要がなくなり、十年あまりの年月が無事に経過した。その間に今度の大戦があって、いわゆる戦時研究にずいぶん無理な身体の使い方もしたが、何事もなかった。終戦後の混乱時に、毎月のように、超満員の東北線で東京通いもしたが、それも何事もなかった。けっきょく憎らしいくらい丈夫になったわけである。
ところで、肝臓ジストマも、胃周囲炎も、ともになるべくはかからない方がいい病気である。