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きなだむら
ゼーロン・淡雪 他十一篇
牧野 信一
線上閱讀牧野 信一《ゼーロン・淡雪 他十一篇(きなだむら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,321 字 · 54 頁
二
万豊やJ氏がどんな理由で担がれたものか、私は知らなかったが、人々が私への反感の最初の動機は、J氏の災難の時に、私が見ぬ振りを装ってその場を立去らなかったばかりか、彼に肩を借して共々に引上げて行ったというのが起りであった。尤もそれが村の不文律を裏切った行為であるというのを知らなかった者である故、あたり前なら一先ず見逃さるべきはずだったが、日頃から私の態度を目して「大風で生意気だ。」と睨んでいた折からだったので、これが条件として執りあげられ、やがてリンチの候補者に指摘されるに至ったらしいのであるが、私として見るとそれくらいのことで狙われる理由にもならぬとも思われた。
「いいえ、そりゃ、ただのおどかしだということですぜ。今度から、そんな場合を見たら素知らぬ顔で脇さえ見ていれば好いのだ、気をつけろという遠廻しの忠告ですってさ。やるとなれば前触れなんてするはずもないじゃありませんか。」
御面師はそれとなく附近の模様を探って来て、私に伝えた。――「今度の秋の踊りまでには出演者は皆な仮面を、そろえようということになっているんだから、私たちがいなくなったら台なしでしょうがな。