輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

きなだむら

ゼーロン・淡雪 他十一篇

牧野 信一

線上閱讀牧野 信一《ゼーロン・淡雪 他十一篇(きなだむら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,321 字 · 54 頁

青空文庫

吊籠と月光と

僕は、哲学と芸術の分岐点に衝突して自由を欠いた頭を持てあました。息苦しく悩ましく、砂漠に道を失ったまま、ただぼんやりと空を眺めているより他に始末のない姿を保ち続けていた。

いつの頃からか僕は、自己を三個の個性に分けて、それらの人物を架空世界で活動させる術を覚えて、幾分の息抜きを持った。で、なく、あの迷妄を一途に持ち続けていたらあの遣場のない情熱のために、この身は風船のように破裂したに相違あるまい。

僕の三個の個性というのはこうだ。

Aは、

「諸々の力が上昇し、下降して、黄金の吊籠を渡し合う。」

いわば、その流れの呑気な芸術家である。だからAは、その言葉をわれわれに残したあの中世紀の大放蕩詩人の作物を愛誦して、いとしみからと思えば憎しみで、憎しみからと思えばいとしみで、あれからこれへ、これからあれへ、転がそう転がそう、この樽を、セント・ジオジゲイネスの樽のように――とか、兵士の歌だよ、今日は白パン、明日は黒パン……そんな歌ばかりを口吟みながら、昆虫採集で野原を駆けまわったり、「マーメイド・タバン」の一隅で詩作に耽ったり、手製の望遠鏡で星を眺めたり、浮気な恋に憂身を窶したりしているのであった。