輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

きなだむら

ゼーロン・淡雪 他十一篇

牧野 信一

線上閱讀牧野 信一《ゼーロン・淡雪 他十一篇(きなだむら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,321 字 · 54 頁

青空文庫

「桂冠詩人よ。」

と煽ててやった。「都に行くとお前は宝石店の飾り窓に七宝の翅をもった黄金の玉虫を見出すであろう。マーメイドの恋人の愛をつなぎたかったら宝石店の玉虫を送り給え。」

詩人は僕の別れの言葉を上の空に聞き流して、例の、

「これからあれへ、あれからこれへ!」を声高らかに歌いながら意気揚々と月明の丘を降って行った。

「不安は事物に対するわれらの臆見がもたらすものであって、本来の事物に不安の伴うものではない。愚人にのみ悲劇が生ずる。俺はオデイセイに従って、森を抜け出た野獣の如くに、専ら俺自体の力を信じて行こう。」

とBは、万物流転説を遵奉するアテナイの大言家の声色を唸りながら未練も残さずに出て行った。不安も悲劇も自信も僕にとっては馬耳東風だ。あまりBの様子ぶった態度が滑稽だったから、

「馬鹿な自信を持ってかえって不安の淵に足を踏み入れぬように用心した方が好いだろうよ。この弓をやろうじゃないか、腹の空いた時の用心に――」

と、注意しようかと思ったが、振り向きもしないのでやめた。で僕は、弓なりにした剣の間から、敬うとも嗤うともつかぬウインクスを投げただけだった。