輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ぼくのぼうしのおはなし

一房の葡萄 他四篇

有島 武郎

線上閱讀有島 武郎《一房の葡萄 他四篇(ぼくのぼうしのおはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,712 字 · 39 頁

青空文庫

こんな馬鹿げたことがあるものでしょうか。あれほど大事に可愛がってやっていたのに、帽子はどうして僕をこんなに困らせなければいられないのでしょう。僕はなおなお口惜しくなりました。そうしたら、また涙という厄介ものが両方の眼からぽたぽたと流れ出して来ました。

野原はだんだん暗くなって行きます。どちらを見ても人っ子一人いませんし、人の家らしい灯の光も見えません。どういう風にして家に帰れるのか、それさえ分らなくなってしまいました。今までそれは考えてはいないことでした。ひょっとしたら狸が帽子に化けて僕をいじめるのではないかしら。狸が化けるなんて、大うそだと思っていたのですが、その時ばかりはどうもそうらしい気がしてしかたがなくなりはじめました。帽子を売っていた東京の店が狸の巣で、おとうさんがばかされていたんだ。狸が僕を山の中に連れこんで行くために第一におとうさんをばかしたんだ。そういえばあの帽子はあんまり僕の気にいるように出来ていました。僕はだんだん気味が悪くなってそっと帽子を見上げて見ました。そうしたら真黒なお月様のような帽子が小さく丸まった狸のようにも見えました。