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さぶろうじい

三郎爺

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《三郎爺(さぶろうじい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,866 字 · 50 頁

青空文庫

手足が、不自由になり、思うように歩くことも出来なくなった彼の偉大な体は、遠くなった耳とともに、ますます彼の強情を強めた。

今こそこんなにビクラビクラしてはいてもという、反動的な、けれどもどうしてもなければならない自負が、彼の頭を一層高くさせる。

娘が十八になって、婿を取り、自分も、町の呉服屋の下働きをしていた、少し気の疎い女を後妻にして、彼は、貧しくしかし毅然と肩を聳(そび)やかせながら暮し始めたのである。

けれども、彼はその時分、よく行方不明になることがあった。三四日居処の分らないこともあり、ときには十日ぐらい、女房も知らないどこかで過して来る。

いろいろ取沙汰するものがあって、どれもそれがほんとだとは思われないが、博奕(ばくち)を打ったりしていたことだけは、間違いなかろう。

とにかく、そんなことで、幾分山沢さんの未亡人も、注意していたとき、彼は或るとき、突然告発された。

それをきいて騒いだのは、村の者ばかりではない。山沢さんの未亡人は真赤になって憤った。

女主人になったので、構えの中から、そんな不面目な者を出したと云われては、とうてい辛抱がならないと思ったのも、無理ではなかっただろう。