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ちゅうせいのぶんがくでんとう

中世の文学伝統

風巻 景次郎

線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁

青空文庫

これは羅馬の文化がアルプスを北に越えてから、中欧の文化開明期に、地方語の歌のほかに羅典語の詩が書かれ、学者の間にはながく羅典語が使用されたのと全く同じ現象であったのである。

このようにして、からうたは日本の宮廷を中心にして日本列島の上に根をおろした。そしてそれに対立してやまとうたの意識も宮廷を中心として成り立って来るのであった。この事実をいちばんよくあらわしているのは、漢詩と和歌との文字づかいであらねばならぬ。この詩に対して歌という字を使った使い方に、そのころの日本のうたのあり方がよく表われているのである。

さきに和歌の語のはじめてあらわれたのは『万葉集』だといったが、その和歌の多くは他人の歌に対して、こちらからも歌で応和返答する意に用いてあるから、かえし歌とかこたえ歌とかいう意味で、日本の歌の意味ではない。しかし倭歌と記してある方は、漢土で日本のことを倭といった用法にしたがったのであるから、日本の歌の意味であることも明らかである。次いで歌の字の問題であるが、いちばん簡単にいえば、『釈名』に人の声であるといっているのがそれで、今少し精しくいうと、『書経』