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ちゅうせいのぶんがくでんとう

中世の文学伝統

風巻 景次郎

線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁

青空文庫

十八

しかし伝授には後になると様々の切紙が何通もつくようになって煩瑣を極めるようになってくる。それに根本の切紙が十八通という点も、東常縁のときに決したし、形式万般そのとき決したといっても、秘事のことは証拠がないので断定は出来かねるのが実情である。

註 宗祇については福井久蔵博士の『連歌の史的研究』という良著の中を見られると、手っとりばやい解説がある。

十八

さて二条流の歌学がこうして連歌師宗祇の手に帰すると、問題は公家の間に起る。本来宮廷貴紳の文学伝統を伝える儀式化した手段に過ぎなかったのではあるけれども、それは今から見てのことである。当時の実情としては、この形式は、血統なくして道統を伝える者にとっては是非必要であったのであって、ことにその者の種姓が卑賤である場合には、一層必要であったわけである。常縁・宗祇の時代に生れた古今伝授の大がかりな祭典的儀式は、二条家が血統正しく栄えて、歌の家の格式を保持しておったならば、恐らくは生れなかったでなかろうかと思われる。歌の道統が宮廷貴紳の間から外へ逸脱したときに、このような歌道の神聖化は生れたのであって、同時に、歌道が公家の手をはなれたというところに、公家の短歌形式による抒情の力のなくなりつつあった証跡がうかがわれるのである。