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ちゅうせいのぶんがくでんとう

中世の文学伝統

風巻 景次郎

線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁

青空文庫

かけてかけて な泣かしそね 浮び出るやと見む、ワシ

などとあるのが一例であるが、これに属するものも大部分は創作詩である。巻八にある山上憶良の有名な

萩が花 尾花葛花 なでしこの花

女郎花 また藤袴 あさがほの花

などは正整の体、まことに文筆の雅遊である。

短歌は57577の形を持つ。本来57の句が二度くり返されて、7の一句で閉じたものでうたったときの句つづきは本来それであったろう。

吾はもや   安見児得たり、

人みなの   得がてにすとふ、

安見児得たり。     (藤原鎌足)

風をだに   恋ふるはともし、

風をだに   来むとし待たば、

なにかなげかむ。    (鏡王女)

などは、時代も早い近江朝頃だから、うたった歌の句つづきがのこっているのであろう。その一面に575・77の句つづきが次第にひろく力をもってくる。『万葉集』の短歌は四千百七十三首で、断然群を抜いて多いが、その中でうたわれた歌謡と思われるものは東国の民謡だった東歌だののほかは、割に少いのである。

うつそを麻績の王海人なれや伊良胡の島の玉藻刈り食す

などは『常陸国風土記』には板来、つまり今の潮来の歌として少し句をかえて伝えられていて、諸国へちらばっていた歌謡だったことが分るが、大体はつくられた歌である。