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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁
『千載集』の歌はそうではない。いちいち心に触れて詠歎ひさしゅうしているといった感じである。これは俊成が歌の理想としていたものと一致するものである。『古来風体抄』に、
必ずしも錦、繍のごとくならねども、歌は、ただ読みあげもし、詠じもしたるに、何となく艶にも哀れにも聞ゆることのあるなるべし、
といっており、『日吉社歌合(日吉七社歌合・慈鎮和尚自歌合)』の判詞にも、同じような説明をしている。そして、こうした特色を幽玄といっていたらしい。
幽玄という言葉については長い歴史があるが、俊成としては永万二年五十三歳で『中宮亮重家朝臣家歌合』の判者をつとめた。いま残っているものでは、判者をつとめた最初のものだが、それには既に幽玄の語が出て来るのである。
うちよする磯辺の波の白ゆふは花ちる里の遠目なりけり
の歌に、「風体は幽玄ノ調、義ハ非ズ二凡俗ニ一」といっている。その後しばしば用いてはいるが、幽玄が先の『風体抄』の説明に見るような内容を持っているものと規定したところは一箇所もない。ただ鴨長明が『無名抄』の中で、近来幽玄ということがいわれるが、むつかしい言葉である、しかし自分の理解する限りではといって、