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じんせいのらくじ

人生の楽事

福沢 諭吉

線上閱讀福沢 諭吉《人生の楽事(じんせいのらくじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,300 字 · 7 頁

青空文庫

世間一般の人は左程に思わざるべけれども、唯学者にして始めてこの苦痛の苦味を知るべきのみ。今日の実際に於て政治家に哲学者なく、新聞記者に物理学の専門家少なく、開業医師に学医稀にして、説法僧に善知識を見ざるも、自から偶然に非ず。左れば今この学思の妨害を除て専一ならしめんとするには、学者に衣食の資を給して物外に安心せしむるの一法あるのみにして、窃にその方法を案ずるに、法律規則を以て組織したる政府の筋には固より依頼すべからず。今の不学なる俗政府の俸給などに衣食し、俗物に交わり、俗言を聞き、甚だしきはその俗物の干渉を被り、催促を受けながら、学事を研究せんとするが如き、その無益たるは云うまでもなく、仮令い或は世間有志者の発意を以て私に資金を給せんとする者あるも、そのこれを給するや公共の為めにも私の為めにも近く実利益を期するが如き胸算にては、本来の目的に齟齬するものなり。老生が真実の目的を申せば、爰に一種の研究所を設けて、凡そ五、六名乃至十名の学者を撰び、之に生涯安心の生計を授けて学事の外に顧慮する所なからしめ、且その学問上に研究する事柄もその方法も本人の思うがまゝに一任して傍より喙を容れず、その成績の果して能く人を利するか利せざるかを問わざるのみか、寧ろ今の世に云う実利益に遠きものを択んでその理を究め、之を究めて之