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あだうちきんしれい

仇討禁止令

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《仇討禁止令(あだうちきんしれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,238 字 · 35 頁

青空文庫

皆、刀を抜いた。小泉が、「天野氏、どうぞお先に。みんなみんな静かに」と、いった。先手の連中が先へ出た。

そこの廊下に添うた部屋は、お八重殿の部屋である。灯がかすかにともっているが、熟睡しているのであろう。気づかない様子である。

「この部屋!」廊下を十間ばかり歩いた時、新一郎は振り返って、そっとささやいた。

障子がさっと開かれた。そのとたん、

「何奴じゃ」もう十分用意し切った声が、先手三人の胸を衝くように響いた。

頼母は、すでに怪しい物音に気がつくと、手早く寝間着の上に帯を締め、佩刀を引き寄せていたのである。

「天朝のために、命を貰いに来た!」吉川が低いが力強い声で叫んだ。

「推参! 何奴じゃ、名を名乗れ!」頼母は、立ち上がると、刀を抜いて鞘を後へ投げて、足で行灯を蹴った。

が、行灯が消えると同時に、山田が持っていた龕灯の光が室内を照した。

小泉は、広い庭に面した雨戸を、ガラリガラリと開けた。進退の便に備えるためである。

龕灯に照し出された頼母は、寝床のそばから、飛び返って、床柱を後に当てて、二尺に足らぬ刀を正眼に構えていた。老人ながら、颯爽たる態度である。