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ぶっきょうじんせいとくほん
仏教人生読本
岡本 かの子
線上閱讀岡本 かの子《仏教人生読本(ぶっきょうじんせいとくほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 124,886 字 · 246 頁
第二五課 母性愛
仏教でよく修業を積んだ人の所業を評して、「謡うも舞うも法の声」と言います。修業に修業が積み、生命の流れが過不及なしに流れている人、すなわち正念を常に保ち得ている人は、何事をしても決して過不及なしに、物事の本当のところにはずれることなく、ちゃんと当て嵌って行く。何をしても大丈夫だ。結果はすべて当処(本当のところ)に触れて行く。軽からず重からざる心の使い方。速過ぎず遅過ぎぬ生命の流れを流して行き得る妙境。こここそ、仏教の修業の目指すところであります。
第二五課 母性愛
母という不思議な存在を
子よ、あなた方、はっきりと
意識のなかに入れていますか
母という不思議な謎を
子よ、あなた方、はっきりと
解き得たことがありますか
母という存在は、子にとってあまりに大きく
意識のなかに畳み入るべく
あまりに大きく
母という謎は
解かんとして解き得べく
あまりに深く濃かき謎なり
さらば、母なる我の
子をおもう母のこころを
語りてもみん
折から東京の外の面は秋雨
うすら冷たく庭草の濡れそぼつなか
眼に入るは、つわぶきの花の黄のいろ
子よ、と呼びかくべくあまりに遠い
我が子は、ふらんすの
巴里の都に
子よ、と呼ぶ声より先に