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かめんのきょうふおう

仮面の恐怖王/電人M

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《仮面の恐怖王/電人M(かめんのきょうふおう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 153,590 字 · 308 頁

青空文庫

頭だけはいる広さがあれば、からだ全体、はいれるものです。むろん辛抱づよく、練習しなければなりません。ポケット小僧は、その練習をやらされて、つぼの中にかくれる術を、心得ていたのです。

かれはいつか、奇面城の事件で、四角なカバンの中に身をひそめて、二十面相のすみかに、乗りこんだことがあります。あれも、そういう曲芸を心得ていて、からだを、自由に曲げることができたからです。

みんながいなくなって、しばらくすると、花瓶の口から、ニューッと手が出て、頭が出て、それから、もう一本の手が出て、ポケット小僧があらわれました。

「フーッ、苦しかった。だが、もう大丈夫だな。」

台からおりて、グーッと手足をのばしました。そして、大急ぎで黒いふくめんをとり、黒シャツとズボンをぬいで、それを裏返して、また身につけました。シャツの裏は茶色、ズボンの裏はグレーです。いままでの黒んぼとは、似てもにつかない、ふつうのみなりに変わってしまいました。

黒ふくめんは小さく丸めて、ポケットにねじこみ、チョコチョコと、走って行ったかと思うと、もう、どこかへ、姿が見えなくなってしまいました。

こうして、朝までかくれていて、月世界の見世物が開くのを待つのです。