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とねのしゃくあゆ
利根の尺鮎
佐藤 垢石
線上閱讀佐藤 垢石《利根の尺鮎(とねのしゃくあゆ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,342 字 · 13 頁
上流の谷川岳の麓まで分け入れば、岩魚ばかりであるが、近年奥利根地方は、温泉郷が賑やかになったために、渓流魚に値打ちが出てきたので、職業釣り人は腕によりをかけて釣るようになった。そんな次第で赤谷川の渓流魚は、四月一杯くらいで殆ど釣り絶やされてしまう。
四
大きな姿と、味の立派であることでは日本一の鮎を育てる利根川。旅の釣り人垢石を生んだ利根川は、悲しい哉いまは亡びた。
若鮎が、利根川の中流烏川との合流点の埼玉県本庄町裏の広場へ達するのは、遅い年で四月中旬で、早い年には三月下旬であった。それが下の宮、藤川前、新堀、横手、萩原を経て、早い年には四月の二十日頃、私の村の地先へ達していたのである。
さらに、前橋の県庁を通り坂東橋を抜けて吾妻川との合流点を過ぎ、利根川本来の姿の大渓谷へ入って行くのは五月中旬であった。若鮎は、続いて躍進して行った。猫、鳥山、綾戸の難を越して岩本と森下とが相対する峡流へは、六月上旬に姿を現わした。この時代には、もう若鮎は少年期から青年期に移ろうとして、体躯に逞しい肉がついていた。
戸鹿野橋の下流で群れは二つに別れた。右を指す群れは、片品川へ。