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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
線上閱讀南方 熊楠《十二支考(下)〔全2冊〕(じゅうにしこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 251,906 字 · 495 頁
番頭利に賢ければ主人富む。主人は大黒、番頭は鼠のごとしと。しかし上に引いた『異苑』の文を見ると、鼠崇拝の根本地では特に頭の白い鼠を祭ったのだから、その風が支那経由で日本に伝わり、日本でも初めは大黒の使者たる鼠を白頭に画いたであろう。先年スヴェン・ヘジン氏の『亜細亜貫通紀行』一八九八年板を出した時、この鼠崇拝の事あるべしと思い読むに見えず、大いに失望したが、その後スタイン氏がその辺を発掘して確かに鼠神の像を獲たと知らせくれた人あり。詳細は今に聞かぬ。金色の鼠は鼠類に金色に光るもの数種あり、それを祀ったであろうと、十二年前の『太陽』に書いて置いたが、あるいは鼠王を勿体付くるため祠僧が密かに金色に作り立てたかも知れぬ。『譚海』一一に徳川将軍の世にオランダ人が持ち渡った奇物の内、五色鼠は白鼠を染めたる物なりといい、『香祖筆記』七に、鳥獣毛羽の奇なる物とて黄鳥、花馬、朱毛虎、山水豹とともに朱沙鼠を挙げ、タヴェルニエーの『印度紀行』一巻八章(ホール英訳)の注に、インドで犀を闘わすにその毛を諸色で彩った、今も象をさようにするとあり。惟うに麒麟や鳳凰、それから獅子を五采燦爛たるように和漢とも絵くは、最初外国から似寄った動物を染め飾り持ち来ったのに欺かれ、瑞兆として高く買ったでなかろうか。