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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
線上閱讀南方 熊楠《十二支考(下)〔全2冊〕(じゅうにしこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 251,906 字 · 495 頁
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さきに出した『今昔物語』の瓢箪から麦米を出した譚は、もと仏徒が『最勝王経』と『法華経』の効力を争うたから起ったものだ。聖武帝の天平十三年正月天下諸国に詔して七重塔一区ずつを造り、並びに『金光明最勝王経』と『妙法蓮華経』各十部を写させ、天皇また別に『金光明最勝王経』を写し毎塔各一部を置かしめ、また毎国金光明四天王護国寺に二十僧、法華滅罪の寺に十尼を置き、その僧尼毎月八日必ず『最勝王経』を転読して月半に至らしむとあって、その詔の発端には風雨順序し五穀豊穣なるべきため祷った由見える(『続日本紀』十四)。しかるに当時最勝会を宮中法事の第一とし、天平九年冬十月最勝会を大極殿に啓く、その儀元日に同じというほどで(『元亨釈書』二の「釈道慈伝」)、二経の内『最勝王経』を特に朝家が尊んだので、『法華経』凝りの徒がこれに抗して瓢より米が出た話を作って、かの経が『最勝王経』に勝ると張強したのだ。
犬の笑譚は、諸国にあるが今その二、三を挙げる。元和九年安楽庵策伝筆でわが邦落語の鼻祖といわるる『醒睡笑』巻一に「人啖い犬のある処へは何とも行かれぬと語るに、さる事あり虎という字を手の内に書いて見すれば啖わぬと教ゆる後犬を見虎という字を書き済まし手を拡げ見せけるが、何の詮もなくぼかと啖いたり、悲しく思いある僧に語りければ、推したり