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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
線上閱讀南方 熊楠《十二支考(下)〔全2冊〕(じゅうにしこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 251,906 字 · 495 頁
かく攷えるとどうも馬琴の説が当り居るようだ。すなわち斉の宣王が堂上に坐すと牛を率いて過ぐる者あり。王問うてその鐘に血を塗るため殺されに之くを知り、これを舎せ、われその罪なくして慄きながら死地に就くに忍びずと言う。牛を牽く者、しからば鐘に血を塗るを廃しましょうかと問うと、それは廃すべからず、羊を以て牛に易えよと言った。王実は牛が太く死を懼れ羊は殺さるるも鳴かぬ故、小の虫を殺して大の虫を活かせてふ意でかく言ったのだが、国人は皆王が高価な牛を悋んで、廉価の羊と易えよと言ったと噂した。それについて孟子が種々と王を追窮したので、売詞に買詞、王も種々弁疏し牛は死を恐れ、羊は鳴かずに殺さるる由を説くべく気付かなかったのだ。さて孟子は王のために〈牛を見ていまだ羊を見ざるなり〉云々と弁護するに及び、王悦んで、〈詩にいわく他人心あり、予これを忖度す〉とは夫子の謂なり、我は自分で行っておきながら、何の訳とも分らなんだに夫子よくこれを言い中てたと讃めたので、食肉を常習とする支那で羊は牛ほど死を懼れぬ位の事は人々幼時より余りに知り切りいて、かえってその由の即答が王の心に泛み出なんだのだ。