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こじきものがたり

古事記物語

鈴木 三重吉

線上閱讀鈴木 三重吉《古事記物語(こじきものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,723 字 · 191 頁

青空文庫

そのお途中で、お供の中のある女たちの乗っている船が、皇后のお船におくれて行き行きするうちに、難波の大渡という海まで来ますと、向こうから一そうの船が来かかりました。その中には、高津のお宮のお飲み水を取る役所で働いていた、吉備の生まれの、ある身分の低い仕丁で、おいとまをいただいておうちへ帰るのが、乗り合わせておりました。その者が船のすれちがいに、

「天皇さまは、このごろ八田若郎女がすっかりお気に入りで、それはそれはたいそうごちょう愛になっているよ」としゃべって行きました。それを聞いた女どもはわざわざ大急ぎで皇后のお船に追いついて、そのことを皇后のお耳に入れました。

そうすると、例のご気性の皇后は、たちまちじりじりなすって、せっかくそこまで持っておかえりになった御綱柏の葉を、すっかり海へ投げすてておしまいになりました。それからまもなく船はこちらへ帰りつきましたが、皇后は若郎女のことをお考えになればなるほどおくやしくて、そのお腹立ちまぎれに、港へおつけにならないで、ずんずん船を堀江へお入れになり、そこから淀川をのぼって山城まで行っておしまいになりました。

その時皇后は、