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こじきものがたり

古事記物語

鈴木 三重吉

線上閱讀鈴木 三重吉《古事記物語(こじきものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,723 字 · 191 頁

青空文庫

二

天皇はお帰りのお途中、山の上にお立ちになって、若日下王のことをお慕いになるお歌をおよみになり、それを王へお送りになりました。王はそれからまもなくお宮へおあがりになりました。

二

天皇はあるとき、大和の美和川のほとりへお出ましになりました。そうすると、一人の娘が、その川で着物を洗っておりました。それはほんとうに美しい、かわいらしい娘でした。天皇は、

「そちはだれの子か」とおたずねになりました。

「私は引田郎の赤猪子と申します者でございます」と娘はお答え申しました。天皇は、

「それでは、いずれわしのお宮へ召し使ってやるから待っていよ」とおっしゃって、そのままお通りすぎになりました。

赤猪子はたいそう喜んで、それなりお嫁にも行かないで、一心にご奉公を待っておりました。しかし宮中からは、何十年たっても、とうとうお召しがありませんでした。そのうちに、もうひどいおばあさんになってしまいました。赤猪子は、

「これではいよいよお宮へご奉公にあがることはできなくなった。しかしこんなになるまで、いっしょうけんめいにおめしを待っていたことだけは、いちおう申しあげて来たい」こう思って、ある日、いろいろの鳥やお魚や野菜ものをおみやげに持って、お宮へおうかがいいたしました。