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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁

青空文庫

一概に誤伝とすべきではあるまい)

蛍籠提て聞夜や後夜の鐘    半残

蛍を追うて知らず知らず遠くまで歩いて行ったような場合かと想像する。もう大分更けたと見えて、どこかで後夜の鐘を打つのが聞える。作者はこの鐘声に驚いて、蛍籠を提げながら踵を回したことであろう。

この句では「提」の字がよほど句の意味を限定する力を持っている。もしこれが仮名で「さげて」とあったならば、必ずしも蛍狩の場合にはならない。軒に蛍籠を吊して後夜の鐘を聞くとも解せられる。単に「蛍籠」という時は、蛍狩を連想せぬ方がむしろ自然かも知れない。けれどもこの句は現在手に提げているのだから、軒端の蛍では工合が悪い。夜更に蛍籠を提げているとすると、蛍狩の句と見るのが妥当らしく思われる。

但中七字に「聞夜」とあって、下五字にまた「後夜」とあるのは、文字面からいって多少重複の感を免れない。「後夜」は時刻の名には相違ないが、夜であることが明な以上、「聞夜」の「夜」は蛇足のようである。

蠅打に猫飛出ルや膳の下    ※(「さんずい+(吝-口)」、第3水準1-86-53)江

猫はよく食事の時膳の下に入っているものである。