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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁

青空文庫

鮓を食って先ず祭気分になった、というところにこの句の山はある。「先」の一語が重要な働きをつとめているわけである。

何々顔という言葉は平安朝以来のもので、天明時代になってから、蕪村や太祇が頻にこれを句に用いた。子規居士もこの語について何か書いたことがあったと記憶する。「祭顔」というような言葉でも、たった一語で祭の気分を最も端的に現している。これに代うる言葉の見当らぬのは勿論、説明しようとすれば多くの言葉を補わなければならぬ。日本語の長所のよく発揮された一例と見るべきであろう。

賤は猶祭めかしや髪かしら    盛弘

日頃はなりにもふりにも構わず働いているような人たちも、祭の日はさすがに髪をきちんとして、如何にも祭らしく見える、という意味らしい。今では髪というと女の世界に限られるようだけれども、結髪の昔は男といえども祭の髪を結い映えたものに相違ない。

祭の日の賤の髪が目立って見える、という点に作者は興味を覚えたのである。「猶」という言葉は、この場合なるべく軽く見たい。賤はなおの事、という風に強く解すると、多少理窟っぽくなる虞がある。

いい句とは思わぬが、元禄の句はこういう種類の句でも、どことなく重厚なところのあるのに注目しなければならぬ。