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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁
はつ蚊屋に網うつ真似や小盃 呂風
秋の蚊帳、蚊帳名残、蚊帳の別というような句は、今でもしばしば逢著するが、初蚊帳という句はあまり見たことがない。しかし蚊帳の別を惜む俳人が、蚊帳を釣りはじめるに当って、年々新な感興を覚えるのは当然であろう。袷の中に初袷というものを認めるならば、蚊帳の中に初蚊帳があってもいいわけである。
古人が蚊帳の釣りはじめを詠んだ句については、前にも記したことがあった。ただ「はつ蚊屋」という言葉はなかったように思う。この句は蚊帳を釣りはじめた時の、浮れたような気持を現したので、その点は前に述べた句と大差ないが、小盃という道具が加っているため、つい浮れ方の度も強くなって、網を打つ真似などもするに至るのであろう。蚊帳の布目の影や、自らその中に身を置くことなどから、自然連想が投網にも及ぶのであるかどうか。
つり初に寝て見る昼の蚊帳かな 惟斗
この句は前の句ほど浮れたところはないように見える。しかし試に釣った蚊帳の中に、わざわざ入って寝て見る。昼間のことで昼寐をする目的でもなさそうなのに、わざわざ中へ入って寐て見るというのは、やはり気分の動きが認められる。