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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁
坊主ばかりの相撲に至っては、慥に鳥羽絵中のものである。
七夕や庭に水打日のあまり りん
まだ日の暮れぬうちである。梅雨の明けきらぬ新暦の七夕では、古来の情趣は殆ど失われたに近いが、「文月や六日も常の夜には似ず」といった古人の感情からいえば、七夕の日の暮れるのは、今より遥に待遠しかったであろう。新涼の気が動いているとはいうものの、昼の間はなかなか暑い。その日影がまだ残っている庭に水を打って、二星の相見るべき夜を待つのである。
七夕の句は二星に重きを置き過ぎるため、動もすれば擬人的の弊に陥りやすい。七夕に関する行事も、人間扱にしてある点が面白いのであるが、あまり度々繰返されては、句として成功しにくい憾がある。この句は「七夕や」といっただけで、格別七夕らしい何者も点ぜぬところが面白い。
蠅ひとつねられぬ秋の昼寐かな 松醒
この句を読むと直に「蚊ひとつにねられぬ夜半ぞ春のくれ 重五」という句を思い出す。表から見た両句は殆ど相似ているといって差支ない。しかし句の心持には多少の相違がある。
ぶんぶん唸って来る蚊一つのために眠ることが出来ぬというのは、来るべき夏の前奏曲であるが、顔に来る蠅一つをうるさがって、容易に昼寐が出来ぬというのは、去りやらぬ残暑の一情景である。