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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁
であるが、それでは文字が多過ぎる。「石の灰」では石灰と混同せぬまでも、石が焼けて灰になったように取られやすい。あるいは不十分かも知れぬが、この場合「灰の石」以上に適切な言葉は見当らぬのである。
『末若葉』に「炉びらきやまた形ある雹灰 夜錦」という句がある。「雹」は多分「アラレ」とでも読むのであろう。霰のように小粒に固まった灰の形容らしい。炉を開くに当って灰に目を留めるのは、格別不思議もないが、灰の固まったのを「灰の石」といい「雹灰」というのには若干の工夫を要する。精緻な観察は古人に縁がないように思う人は、これらの句を玩味しなければなるまい。
裁物にせばき一間や冬籠 夕市
一間にあって裁物をする。裁板も置かねばならず、裁った布もあたりにひろがるから、自然一間のうちは狭くなる。平凡だといえばそれまでであるが、その裏に平凡ならざる何者かを蔵している。
この句にあって一間を狭しと感ずるのは、必ずしも裁物をする人自身ではない。作者は裁物の人と同じ一間にあって、傍から観察しているものの如く感ぜられる。即ち裁物のために一間が狭くなることは共通であっても、自ら裁物をひろげつつある人の感じとは若干の距離がある。