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うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(四)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,105 字 · 337 頁

青空文庫

店の者もまた、ここらあたりに勤めている手代となると、諸事むだがないのです。たもとの裏の絹糸をしらべて、自分のところで仕立てた品であるのをたしかめると、大きな横帳をしきりに繰っていたが、ようやく捜しあてたとみえて、声をひそめながら答えました。

「たしかにござります。先月の二十一日にご注文うけまして、当月二日にお届けいたしました品でござります」

「注文主はだれじゃ」

「ちとご身分のあるおかたでござりまするが」

「承知のうえでしらべに参ったのじゃ。奥仕えのお腰元か」

「いいえ、奥ご医師でござります」

「ほほう、お脈方とのう。しかし、ご医師にもいろいろある。お外科、お口科、お眼科。お婦人科。いずれのほうじゃ」

「いいえ、お鍼医の吉田法眼さまでござります」

「当人か」

「ご後室さまでござります」

「なに、ご後室とのう。なるほど、そうか。やはり、女だったか! 住まいはいずれじゃ」

「法眼さまがおなくなりになりましてから二年このかた、小石川の伝通院裏にご隠宅を構えて、若党ひとりを相手に、ご閑静なお暮らしをしていらっしゃるとかのことでござります。この品もそちらへお届けいたしました」