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うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(四)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,105 字 · 337 頁

青空文庫

ちっとそれが気にかかりますな。傷口は?」

「そこじゃ。その右の胸もとじゃ」

なるほど、乳のちょうど上あたりに、ぐさりとひと突き、みごとな刺し傷が見えました。

得物は匕首、たしかにドスです。

しかも、傷口は上に走って、まさしく正面から突き刺したものでした。ちらりと見ながめるや、ふふんと白い笑いがのぼりました。

「アハハ……そうか。なるほど、そうか。来てみればさほどでもなし富士の山、というやつかのう。よしよし。そろそろと根がはえだしやがった」

もうなにかすさまじい眼がついたとみえるのです。あちらこちらをぶらぶらとやりながら、ちらりちらりと鋭く目を光らして、十八人の同牢の囚人たちの目いろをひとりひとり見比べました。

しかし、ここへはいるほどの者はみな、ひと癖もふた癖もあるしたたか者ばかりです。外から下手人のはいった形跡がないとすれば、もちろんこの中の十八人のだれかに相違ないが、よしや十八人のうちにいたにしても、顔いろや目つきで眼をつけることは、いかな名人でも困難なことでした。だいいち、だれもかれも同じような顔つきをして、目のいろ一つ変えたものすらないのです。