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みょうじのはなし

名字の話

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《名字の話(みょうじのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,823 字 · 46 頁

青空文庫

新領主を苦しめたる地侍・国侍・郷士

ばならぬ社会的の必要を、意味するものではなかろうか。

紋所の詮議の最もやかましかったのは、足利時代から徳川時代へかけて、名乗の半分を家人にやる慣習の行われた頃である。しかしその反動として紋所を大事にする結果、主君が賞与として家の紋を臣下に与えるようになって、結局紋の数がだんだん減るようになったのであります。

新領主を苦しめたる地侍・国侍・郷士

この反動的同化作用は、単に紋所に止まらず、将軍及び諸大名の臣下鎮撫策とも関聯するもので、徳川家がむやみに外様大名に松平の姓を与えたこと、ないしは押懸け婿、押懸け嫁を縁付けて、大名各藩を迷惑させたのと同じ傾向を示すものである。御承知の通り徳川初期の武家は、将軍自身を初めとして、十中の八九までは成上りの大家である。以前に十数倍する知行を持ったからには、たくさんの侍を召し抱えねばならぬ必要があった。かりにまた譜代の家来に過分の加増をするとしても、その家来もまた知行高相応の軍役を勤むるためには、新たに郎党を召し抱えねばならぬ。しかるにこの時節は戦国の後で、諸国旧家の主人の新領を失って諸方を流浪して歩くもの、すなわちいわゆる浪人の数が非常に多くして、そのある者は器量次第すこぶる高禄を得たがために、差引残りはまだなかなか多く、何ほど抱えても江戸・大阪に集って来る無足の輩がはなはだ