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ぜんこんどんこん
善根鈍根
佐々木 邦
線上閱讀佐々木 邦《善根鈍根(ぜんこんどんこん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,638 字 · 28 頁
年が改まって、藤浪君は学芸部へ転勤を命じられた。切っかけが天降ったのである。三谷さんと一緒に働くことになった。もう一方、小西君は政治部へ廻って、無暗に出て歩く。社よりも官省へ詰めている。
「何うだい? 内を外じゃ射落しの都合が悪いだろう?」
と藤浪君が同情した。
「もう鳧がついたんだよ」
「早いんだね。これは驚いた」
「いや、拙速さ。当って砕けてしまった」
「駄目か?」
「うむ。少し自信があり過ぎた」
「男を下げたね」
「何あに。年が二つ上だ。胸板を射貫かれなくて、却って仕合せさ」
と小西君は負け惜しみを言っていた。
藤浪君は三谷さんの御機嫌を取り始めた。貞代さんの場合に鑑みて、自信は禁物と思っているから、一意専心だった。仕事の上の交渉から追々親しみを加えて、個人的の話題に触れるようになった。何かの切っかけで、三谷さんの方から年を訊いた。
「二十六です。あなたは?」
「婦人に年を訊くのは失礼よ」
「それじゃ当てます。四でしょう?」
「もっとよ」
「五?」
「オホヽ。もっとよ。私、姉さんよ」
「そんなことはないでしょう」
と藤浪君は目を丸くした。お世辞を使ったのだ。一つ上と見ている。