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ぜんこんどんこん

善根鈍根

佐々木 邦

線上閱讀佐々木 邦《善根鈍根(ぜんこんどんこん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,638 字 · 28 頁

青空文庫

六

ソロ/\認められ始めた。もう慣れっこになってしまって、家庭が珍らしくない。屈託は仕事にある。入社以来六年、これからが本式だと思っている。

「何うだい?」

と小西君が藤浪君の肩を叩いた。

「相変らずだ」

「久しぶりで何うだいと言っているんだよ」

「宜かろう」

六

二人はその晩、且つ飲み且つ語った。支那料理だった。カフェーはもう卒業してしまった。

再び新たに入学する年配までは未だ大分距離がある。差当り家庭中心主義だ。それにも拘らず、小西君は奥さんに苦情があるような口吻を洩らして、

「駄目だよ。僕のところは子供が続々生れる所為か、もう倦怠期が来ているんだ」

と訴えた。

「倦怠期ってことを皆よく言うが、何んな心持になるものだろう?」

「お芽出度い人間は羨ましいよ」

「面白くないのかい?」

「君は面白いに相違ない。二つも鯖を読まれて有難がっていれば、世の中はいつも春だ」

「人身攻撃はよせよ。僕だって、これでも、一から十まで満足しているんじゃない。何んな形勢だい? 一体」

「さあ」

「喧嘩でもしたのか? 僕が行ってあやまっても宜い」

「馬鹿にするなよ。要するに倦怠期だ」

「その倦怠期の徴候を話し給え」