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よつや、あかさか
四谷、赤坂
宮島 資夫
線上閱讀宮島 資夫《四谷、赤坂(よつや、あかさか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,947 字 · 18 頁
追分から少し四谷の方へ戻ってくると、左側に電車の車庫がある。車庫の横町の突き当りに以前は新宿警察があった。日露戦争後はもうすでに電車も引けて、車庫もあった。車庫といっても今日のように立派な鉄板で葺かれたものではなく、何だか原っぱに、電車が置きっぱなしになっている感じのするものであった。
講和条約に不満を持った国民が焼打ちを初めた第二夜だった。四谷見附の交番も焼かれた。電車が二台、立往生して、大横丁の角で燃えていた。群集は大通りの交番を焼き払いながら、遂に新宿の車庫まで来た。車庫の角には右に薪屋左側に材木屋があった。群集はその前まで来ると、町をはさんで警察と相対した。警察の前には白服の警官が整列していた。電灯もないやみをすかして群集はざわめいた。
やがて誰かが石を投げた。続いてぱら/\と無数に飛んだ。警察の前で号令の声が響いた。『第一列とっか――ん』サーベルがやみに光った。
『わ――っ』という叫びと共に一列の巡査が突貫して来た。群集は両側に散らばった。巡査は長追いをしないで元に戻った。幾度も同じ事が繰返されている中に、誰がやったか、薪屋の松薪が往来に投げ出されて、石油を注いで火をつけられた。