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そうせきしとわたし
回想 子規・漱石
高浜 虚子
線上閱讀高浜 虚子《回想 子規・漱石(そうせきしとわたし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,187 字 · 231 頁
うと考えていた矢先であったので、それらの教員団体、並びに旧友であるところの柳原極堂、村上霽月、御手洗不迷らの諸君を病床に引きつけて、殆んど休む間もなしに句作をしたり批評をしたりしたものらしい。その間漱石氏は主として二階にあって、朝起きると洋服を着て学校に出かけ、帰って来ると洋服を脱いで翌日の講義の下調べをして、二階から下りて来ることは少なかったが、それでも時々は下りて来てそれらの俳人諸君の間に交って一緒に句作することもあった。子規居士はやはり他の諸君の句の上に○をつけるのと同じように漱石氏の句の上にも○をつけた。ただ他の人は「お前」とか「あし」とか松山言葉を使って呼び合っている中に、漱石氏と居士との間だけには君とか僕とかいう言葉を用いていた位の相違であった。漱石氏はこれらの松山言葉を聞くことや、足を投げ出したり頬杖をついたりして無作法な様子をして句作に耽っている一座の様子を流し目に見てあまりいい心持もしなかったろうが、その病友の病を忘れているかの如き奮闘的な態度には敬意を払っていたに相違ない。殊に漱石氏は子規居士が親分らしい態度をして無造作に人々の句の上に○をつけたり批評を加えたりするのを、感服と驚きと可笑味とを混ぜたような眼つきをして見ていたに相違ない。