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そうせきしとわたし
回想 子規・漱石
高浜 虚子
線上閱讀高浜 虚子《回想 子規・漱石(そうせきしとわたし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,187 字 · 231 頁
五
けれども余は思い切って休学する勇気もなかった。
夏休み二カ月の放心は大分元気を回復して、今度は碧梧桐君と相携えて再び京都に出た。それから余は同好数人と共に回覧雑誌を創めたり、小述作を試みて見たりした。鳴雪、飄亭の二君は相ついで吉田の虚桐庵またの名双松庵を訪問した。――余と碧梧桐君と同宿していた下宿を、他にも同宿人があるにかかわらず我らは僭越にもかく呼んでいた。そうして俳句の友、謡の友は此処を梁山泊のようにして推しかけて来た。――鳴雪翁の一句を得るに苦心惨澹せらるると、飄亭君の見るもの聞くものことごとく十七字になるのとは頗る我ら二人を驚かすものがあった。かくして直ちに文学者の生活に移るべく学校生活を嫌悪するの情は漸くまた抑えることが出来なくなって来た。かくしてその学年の終らぬうちに余は遂に退学を決行して東京に上った。
五
退学を決行して東京に上った余は大海に泳ぎ出た鮒のようなものでどうしていいんだか判らなかった。関根正直氏の『小説史稿』や、坪内逍遥氏の『小説神髄』や『書生気質』や『妹背鏡』や、森鴎外氏の『埋木』やそんなものを古書肆から猟って来てそれらを耽読したり上野の図書館に通って日を消したりしながら、さて小説に筆を染めて見ようとすると何を書いていいんだか判らなかった。