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そうせきしとわたし

回想 子規・漱石

高浜 虚子

線上閱讀高浜 虚子《回想 子規・漱石(そうせきしとわたし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,187 字 · 231 頁

青空文庫

云々とあるのは独り漱石氏の感懐のみではない。かくの如くして私は氏が危篤の報に接して駆け付けた時、病床の氏は、後に聞けばカンフル注射のためであったそうであるが、素人目には未だ絶望とも思われぬような息をついていたので、私は医師の許を受けて、

「夏目さん、高浜ですが、御難儀ですか。」と声を掛けた。

「ああ、有難う、苦しい。」というような響きが私の耳に聞きとれた。それは苦し気の呼吸の中に私の耳にそう聞えた響きに過ぎなかったかも知れない。その後また、

「水、水。」と二、三遍繰返して言った言葉を私は確かに聞きとった。看護婦もその声に応じて水を与えたのであった。私はその臨終の模様から通夜の時の容子などを書きたいという考がないでもないが、これは別に人がある事と考えるから此処には略する事として、これでこの稿を終る。左には明治四十年から以後の氏の私に当てた手紙の全部を掲載する。ここに掲げる明治四十二年以後の手紙の少ないのは、もともと受取った手紙の少ないのでもあろうが、その頃から私は人の手紙を保存するという煩しさを感じ始めたので、大概の物は反古にしてしまった。氏の手紙も大分それがあったことと思う。