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とうじょうのきじゅつし

塔上の奇術師/鉄人Q

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《塔上の奇術師/鉄人Q(とうじょうのきじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 151,766 字 · 303 頁

青空文庫

そして、その両がわの部屋を、小林少年と書生の寝室にして、いざというときの用心をしました。

そのばん八時ごろのことです。小林少年は、寝るまえに、たてものの外をひとまわりしておこうと、まっ暗な庭を、しずかに歩いていました。

ぐるっと回って、時計塔のよこに出ました。五階だての時計塔は、やみの空に、黒い巨人のようにそびえています。小林君は、じっと、それを見あげました。

そのとき、じつに、ふしぎなことがおこったのです。

時計塔の四階の壁が、ボウッと明るくなりました。どこかから、光がさしているのでしょう。さしわたし五メートルほどのまるい光が、幻灯のように、浮きあがっています。

そして、その光の中にくっきりと、巨大な数字が……2という数字がうつっているではありませんか。

「あと二日しかないぞ。」

という、あの恐ろしいしらせです。

小林君は、この巨大な幻灯のもとは、どこだろうと、あたりを見まわしました。

どうも、この幻灯機械は、塀の外の林の中にすえつけてあるとしか、考えられません。それをたしかめるために、小林君は、門を回って、塀の外へ出ようかと思いました。

ところが、そうして歩きかけた小林君の足を、くぎづけにするような、へんてこなことがおこったのです。