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とうじょうのきじゅつし

塔上の奇術師/鉄人Q

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《塔上の奇術師/鉄人Q(とうじょうのきじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 151,766 字 · 303 頁

青空文庫

「ふうん、それがうまくいったら、すばらしいね。でも、だいじょうぶですか。」

「だいじょうぶですよ。ぼくはたびたび、そういうけいけんがあるんだから。」

小林君は、にこにこしていうのでした。

それよりすこしまえに、警視庁の中村警部は、五人の部下をつれて、園田さんのうちへきていました。五人の刑事には、門や庭を見はらせておいて、警部は一階の応接間で、主人の園田さんと話をしていました。

小林少年は灰色のシャツをぬいで、ふつうの服に着かえてから、その応接室にはいって、中村警部や園田さんと、なにかひそひそと、秘密の相談をしました。

そして中村警部が、五人の刑事をのこして、自動車で帰っていったのは、もう夜の九時ごろでした。その自動車には、中村警部と運転手のほかに、灰色のシャツと、灰色の覆面に身をかくした、ひとりの少年が乗っていきました。

さっき、塔の秘密の通路へはいっていった小林少年とそっくりのすがたですが、小林君ではありません。小林君は、ちゃんと園田さんのうちにのこっていたからです。それに、この少年は、小林君より、ずっと、せいがひくいのです。ひょっとしたら、小林君が、灰色のシャツと覆面を、かしてやったのかもしれません。