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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《塔上の奇術師/鉄人Q(とうじょうのきじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 151,766 字 · 303 頁
「なにごともなかったじゃないか。いくら四十面相でも、こんなに厳重にみはられていては、どうすることもできないからね。」
淡谷さんが、安心したようにつぶやきました。
「いや、あいつはきっと約束をまもります。ひょっとしたら、もう、ぬすみ出してしまったかもしれませんよ。」
一郎青年が、まるで四十面相のみかたのようないいかたをしました。
「なにをいうんだ。そんなばかなことがあるもんか。われわれ三人が、ずっと見はりをつづけていたじゃないか。」
「三人がですか。」
一郎青年が、おとうさんをあざけるようにいいました。
「三人だよ。」
「ところが、そうじゃないのですよ。さっき小林君が食事にいったときは、あなたとぼくと、ふたりきりでした。そして、あなたは、ぼくをひとりぼっちにして、手あらいへいったじゃありませんか。」
どうもへんな口のききかたです。一郎青年は、おとうさんのことを、あなたとよんでいるのです。いつもこんなよびかたをしたことはありません。」
「そのあいだ、おまえがひとりでいた。そのときに、なにかあったというのか。」
淡谷さんが、へんな顔をして、ききかえします。
「ええなにかあったのです。