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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
線上閱讀山川 方夫《夏の葬列(なつのそうれつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 60,161 字 · 122 頁
この事実は、その連帯感や友情をウソだとする根拠にはならないこと。それらについては、すでにぼくはいやというほど、戦争中の経験で思い知ってきたはずではないのか?
考え、わからなくなり、思い迷いながらぼくはいつもの屋上の隅にきていた。と、そこにどこからともなく山口が姿を見せ、いつものように弁当の風呂敷包をはさんで、ぼくの隣りに坐った。――そうだ、たしかに彼はこの場所に坐り、ぼくの弁当の半分を要求する権利がある、とぼくは思った。何故なら、ぼくがその権利を彼に押しつけたのだから。
つまり、現実のこのおたがいの関係には、なんの変化もないのだ。さっきの噂はたとえ事実であれ、それはぼくの「知っちゃいない」ことの一つにすぎない。いま、彼にその真偽をたしかめるのは、女々しいイヤミの意味しかもちはしない。……すると、ぼくにはなにもいうことがなかった。
寒い日だった。黙ったままいつものとおり山口はぼくの弁当の半分を正確にたべた。それから、その日の天候の話をし、突然、ぼくは毎日ハエを二十匹ずつ殺すことにしている、といった。彼の顔は赤く、目がうるんで、どうやら彼は発熱している様子だった。