輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
線上閱讀山川 方夫《夏の葬列(なつのそうれつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 60,161 字 · 122 頁
待っている女
寒い日だった。その朝、彼は妻とちょっとした喧嘩をした。せっかくの日曜日なので、彼がゆっくりと眠りたいのに、妻はガミガミと彼の月給についての文句をいい、枕をほうりなげて、挙句のはて、手ばやく外出の仕度をして部屋から出て行ってしまったのだ。
蒲団に首をうずめたまま、彼は、またか、と思った。また半日も帰らないのだろう。近ごろ、妻はよくこの手を使う。どうせ実家にでも行き、思うさまおれの悪口をならべてくるのにきまっている。が、それで彼女の気がすむなら、それもよかろう。おれはおれでもう少しの時間、この蜜のような眠りをむさぼれればそれでいいのだ。
窓はもう明るく、一人きりの静かな部屋の中で、彼は、ごくやすらかにまた眠った。
目がさめたとき、枕もとの時計は十一時をまわっていた。――腹のあたりが空虚すぎて、もう、どうにも睡ることができない。
まだ、妻は帰っていない。彼は舌打ちをした。いまいましいことだが、結局、いつものように近くの煙草屋まで行き、ソバ屋にでも電話しなければ食事にはありつけない。
仕方なく、彼は顔を洗い、ふだんの服に着替えた。寒風の中をジャンパーの襟をたてて、二、三十メートルはなれた煙草屋へとあるいた。