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ゆめはよびかわす
夢は呼び交す
蒲原 有明
線上閱讀蒲原 有明《夢は呼び交す(ゆめはよびかわす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 頁
を問題に取り上げて、歌の成り立ちに関する考をやさしく分らせるにはどういう風に述べて行ったものかと、しきりに思案している。その見せてやりたいという相手は誰だろうか。歌の表の都の人々よりも、先ずもって作者自身ではなかったろうかと思って見る。そこが眼目だと気がつく。気がついて見れば、それでも解決がついたようなものである。「雪間の草の春」は陣痛の苦を味って自分が生んだ胎児にちがいない。血を引いた個性がそこにあらわれている。もともと雪間の草を発見したのは自分自身である。自分の見方が好かった。正しかったからだとはいえる。しかし分身の胎児は、これを自分ひとりで生んだものと断言することが果たして出来ようか。自分の発見が種子となって、胎中にあって、ひそかに生態の形が整えられ、そしてかずけられた自然のいのちをちからとして生まれて来たものである。そこで自分ならぬ自分の声が聞えて来る。何といって好いものか、多分それを暗示とでもいうのだろう。その声が「見せばや」である。その声を聞くとともに自分から私というものが取り除かれる。そうなると今までは私のものであった「雪間の春」が直ちに転身して、ひろびろとした自由の世界の空気を呼吸する。