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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁

青空文庫

壮士は最初の法をとって、勝ちを一気に占める考えであったが、その術を施す隙がなかったので、やむを得ず、相方ともに楯をついての睨み合いです。

関東の剣客で、その立合った限りにおいては、竜之助の音無しの構えを破り得るものがなかったのです。かの壮士は図らずもその術にひっかかったものです。降りみ降らずみ五月雨の空が、十日も二十日も続く時は、大抵の人が癇癪を起します。鬱陶しい、忌々しい、さりとて雷が鳴るまでは、どうにもならぬのが竜之助の剣術ぶりです。壮士の癇癪はついに雷となって破裂した。

「やあ!」

切り込んだ初太刀。

その出る頭こそ音無し流のねらいどころです。

どちらが斬ったか斬られたか、刀と刀は火花を散らして、一合すれば、両人の身は四五間離れて飛びます。どちらにも怪我はなかった。透さず壮士は再び上段の構えでジリジリと寄る。竜之助はもとの如く、双方ともに以前の形をとって進むだけです。

この一合した時に、立っていた怖いもの見たさの連中は、

「わっ!」

とわめいて、横になり縦になって、遠いのは一町、近いので五十間も転げ出したが、双方ともに傷つかず、また陣形を立て直したのを見てソロソロと舞い戻る。