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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁

青空文庫

大菩薩峠

一

大和の国、三輪の町の大鳥居の向って右の方の、日の光を嫌って蔭をのみ選って歩いた一人の女が、それから一町ほど行って「薬屋」という看板をかけた大きな宿屋の路地口を、物に追われたように駈けこんで姿をかくします。

よくはわからなかったが、年はたしか二十三から七までの間、あまり目立たないつくりで、伏目に歩みを運ぶ面には、やつれが見えて何となしに痛わしいが、それでも、すれ違ったものを一たびは振返らせる。鳥居の両側にはいずれにも茶屋がある、茶店のないところには宿屋があって――女の姿をいちばんさきに見つけたのは、陸尺や巡礼などの休みたがる、構えの大きいわりに、燻ぶった、軒には菱形の煙草の看板がつるされ、一枚立てきられた腰高障子には大きな蝋燭の絵がある茶店の中に、将棋を差していた閑人どもであります。

「あれかよ、あれかよ」

「あれだ、あれだ」

碁将棋を打つ閑人以上の閑人は、それを見物しているやつであります。岡眼をしていた閑人以上の閑人が、今ふと薬屋の路地を入って行った女の姿を認めた時は、一局の勝負がついた時であったから、こんな場合には髷の刷毛先の曲ったのまでが問題になる。