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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁
十一
「うむ、もとより井上は盗みをするような男でない」
「で、ほかならぬ新撰組へ盗賊が入ったとあっては、一統の恥」
「そう言えば、そうじゃ」
「そこで、拙者一人が罪を被る」
「うむ」
「島原通いの金に困って、預かりの金を費い果した、その申しわけに腹を切る――隊中へはそのように披露する」
「なるほど――」
山崎は深く考え込んでしまった。
「待て、俺に少し考えがある」
この時に、山崎の頭にポーッと現われたのは、昨夜、一ぜん飯屋で飲み合った関東の者という不思議な旅人。向うでも変だと思ったらしいが、こちらでも解せないと思って別れた――平間と山崎とは友人で、山崎は、常にさまざまに変装をして、諸国浪士の動静をさぐるに妙を得ている。
十一
その翌朝になって、七兵衛はちょっとした羽織を引っかけて草履穿きで、小風呂敷を腋にかかえて、島原へやって来ました。大門を入って、道筋を左に曲ろうとすると、ふいと向うからやって来て、おたがいに面を見合せたのは、昨夜、一ぜん飯屋で杯を取交した小間物屋です。
「気味の悪い奴が来たな」
七兵衛は、なんとなく気が置けて、面を外らして通り過ぎ、木津屋の前に立って見ると、つい先の路地にかの小間物屋は、さあらぬ体でこちらを窺っています。