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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁

青空文庫

幸か不幸か、芹沢はお松が潜んでいた方の襖を颯とあける。

「誰だ、そこにいるのは!」

「はい、私でござります」

お松は逃げ場を失ってしまった。

「何をしている」

「あの、つい気分が悪いので、ここで息を休めておりました」

芹沢は、近寄って、

「お松ではないか」

「はい」

「うむ」

芹沢は思案して、跪いているお松の手をとって、

「拙者と一緒に来い」

「まだ、あの、お座敷の方に用事がありますから」

「用事があってもよい、一緒に来い」

お松は、手をとられて、羽掻締めのような形。芹沢は左の手に刀、右の小脇に軽々とお松を抱えて、

「聞いたな」

「いえ、なんにも」

「聞いてもよいわ、お前ならば聞かれても大事ない」

「どうぞ、御免あそばして」

「怖いことはない」

誰であったか、隣にいた人はこの場合にも口を一つ挿まなかった。

芹沢は、も一つ次の間へお松をつれて来て、

「お松、拙者は、お前を贔屓にする」

「有難う存じます」

「お前は木津屋の娘分だと言うたな」

「はい、左様でございます」

「俺のところへ遊びに来い。お前は幾つというたかな」

「あれ、どうぞお放し下さい。お座敷へ出ませぬと叱られまする」

「叱られたら、この芹沢が謝罪ってやる。