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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁
「噂には聞いたが、姿を拝んだのは今日が初めてだ、なるほど」
「惜しいものだね――」
藍玉屋の息子で金蔵という不良少年は、締りのない口元から、惜しいものだね――と、ね――に余音を持たせて、女の入って行ったあとを飽かずに見ていたが、
「全く、あのままこの山の中に埋めておくは惜しいものでございますなあ」
図抜けて大きな眼鏡をかけた材木屋の隠居も、どうやら残り惜しい顔をしている。
「全く罪ですな、およそ世の中にあのくらい罪なものはございませんな」
ちょっと覗きに来たつもりで、うかうかと立見をしてしまった隣の宿屋の番頭も、つり込まれて慷慨の体。
「左様、全く罪なことでござるよ、あんなのはいっそ助けない方がようござるな、添うに添われず、生きるに生きられず、現世で叶わぬ恋を未来で遂げようというのじゃ、それを一方を殺し一方を助けるなんぞ冥利に尽きたわけさ」
眼鏡の隠居は慨歎する。
「でもね――女に廃りものはないからねえ」
藍玉屋の息子のねむそうな声が一座を笑わせる。
ここに問題となった女は、机竜之助が鈴鹿峠の麓、伊勢の国関の宿で会い、それから近江の国大津へ来て、竜之助の隣の室で心中の相談をきめ、その夜のうちに琵琶湖へ身を投げて死んだはずのお豊――すなわちお浜に似た女であります。