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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁

青空文庫

老人の前には机があって、算木筮竹が置いてある。

「易を立てて進ぜましょうかな、奉納試合の御運勢を見て進ぜましょうかな」

老人はこう申しますのを、文之丞は首を振って見せた、老人は再び勧めようともしません。

おりから坂の下より上って来たのは、かの机竜之助の一行で、同じくこの茶屋の前で立ち止まりました。

「お早い御参拝でござります、お掛けなすっていらっしゃい」

「休んで行こうかな」

竜之助が先に立って、一行を引きつれて、この黒門の茶屋へ入ります。宇津木文之丞は何気なく入って来た人を見ると、それは自分の当の相手、机竜之助でありましたから、ハッと気色ばんだが、幸いに編笠を被って隅の方にいたので、先方ではそれと気がつかぬ様子。

先刻の老人はまた首を突き出して竜之助の方に向い、

「易を立てて進ぜましょうかな、奉納試合の御運勢を見て進ぜましょうかな」

竜之助は老人の面を見て頼むとばかり頷くと、老人は筮竹を取り上げて、

「そもそも愚老の易断は、下世話に申す当るも八卦当らぬも八卦の看板通り、世間の八卦見のようにきっと当ると保証も致さぬ代り、きっと外れると請合いも致さぬ。愚老は卦面に現われたところによりて、聖人の道を人間にお伝え申すのが務め、当ると当らぬとは愚老の咎ではござらぬでな……」