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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁

青空文庫

「可愛ゆい若衆でしたね」

お松はこう言われて、何のわけもなく真赤になりました。

お松は大菩薩峠で七兵衛に助けられたお松。それを前に呼び寄せて話しているのは、七兵衛の手からお松を預かった切髪の年増でありました。

「それはそうと、明日はお邸へ上らなくてはなりませぬ」

「はい」

「お邸へ上りましたなら、かねて申してある通り、わたしに代って辛抱して、殿様のお気に入るようにして下さい」

「わたしのような慣れないものが、お気に入るようになられましょうやら、それが心配でございます」

「殿様はお酒をおあがりなさるとお気が荒いけれど、平生は親切なお方だから、御機嫌の取りにくいことはありませぬ」

「お手荒なことをなさることはございますまいか」

「まあそんなことがあっても、和らかにとりなすのが御奉公と申すもの」

「それでも、かよわいわたくし風情の力で殿様の御機嫌が直りませぬ時は……」

お松が心配そうに言うのを切髪の婦人は笑って打消し、

「なにも殿様が、きっと手荒いことをなさるときまったわけではなし、また朋輩もたくさんあることだから……朋輩といえばお松や、殿様や家来方の御機嫌よりも朋輩同士の仲が小面倒なのよ、よく気をつけないと嫉まれたり憎まれたり――」